
本田安次先生の文化功労章受賞を祝う
財団法人地域伝統芸能活用センターが毎年発表している伝統芸能大賞の選考委員の本田安次先生が、平成七年度文化功労章を受賞されました。地域伝統芸能のなかの大部分を占める民俗芸能の研究者が文化功労者に選ばれたのは初めてのことであり、研究界のみならず、昨今各地の行政部門や文化関係者など民俗芸能に関心を寄せている各層の人々にとっても誠に喜ばしい出来事でありました。
民俗芸能という言葉は昭和30年代ごろ、本田安次先生などが中心となって提唱されたものと伺っています。それ以前は郷土芸能という言葉が一般的であり、何処の地に、何時、どういう民俗芸能が行われているかの全貌はつかめていませんでした。ある研究者が書いていましたが、以前研究者たちが民俗芸能を探訪に出かけるときには、前もって各地の祭りに露店を出す香具師などから情報を得るのが手っとり早いといった状況だったのです。 近年各地で盛んとなっている町おこし、村おこしの地域振興に民俗芸能が盛んに活用されているわけですが、このようなことが可能となっているのも、全国の民俗芸能の体系調査研究を初めて成し遂げられた本田安次先生の功績に負うところ誠に大であると考えます。また本田先生の民俗芸能調査研究の進展深化への御功績はいま述べたとおり計り知れないものがありますが、このたびの文化功労者に選ばれたときの新聞発表資料では、この点について次のように述べています。「同人の民俗芸能の調査は詳細かつ克明で、その資料の信憑性はきわめて高く、後世に残す民俗芸能の記録として貴重なものであり、また、それら膨大な資料をもとに透徹した芸能史観と適確な方法で分類整理し、民俗芸能研究を民俗芸能学として確立した功績は極めて大きい」。

書斎にて 本田安次先生
先生の著書は多数にのぼりますが、昭和釘年には『霜月神楽の研究』が芸術選奨文部大臣賞の受賞対象に、また昭和ω年には『日本の民俗芸能』全5巻が同じく芸術選奨文部大臣賞の受賞対象となりました。平成5年より、本田安次著作集『日本の伝統芸能』(全20巻)の大きな刊行事業を進めておられます。
文化庁主任文化財調査官 星野紘
■第四回地域伝統芸能全国フェスティバルのお知らせ
●開催日/六月十四日,十七日の四日間
●会場/山石手産業文化センター及び盛岡市内
今年のテーマは「お祭り風土記」。日本各地の伝統芸能や行事、趣向を凝らしたイベントが楽しめます。ぜひお出かけください。なお、十六日に行われる伝統芸能パレードの参加団体を募集中。県や市町村の観光PRをご希望の方はセンターまでお問い合わせください。
(財)地域伝統芸能活用センターの事業内容
(1)「地域伝統芸産全国フェスティバル」の主催・企画・運営事業
都道府県と連携し、全国規模の伝統芸能フェスティバルを毎年各地で開催します。
(2)「地域伝統芸能地方フェスティバル」への支援事業
地域伝統芸能等活用法に基づき、各都道府県で行われる伝統芸能を活用したイベントに対し、ノウハウ、資金などの支援を行います。
(3)地域伝統芸能。行事に関する精強収集提供事業
地域伝統芸能及び地域伝統芸能を活用した行事に関する情報をデータベース化し、イベント実施に資する具体的情報を広く提供します。
(4)地域伝航芸難・行事を通じた海外広報・交流事葉
国際観光振興会等を通じて地域伝統芸能を活用した行事に関する情報を海外に提供するほか、地域公共団体等と連携し、海外における地域伝統芸能を活用したイベントなどを行います。
(5)地域伝統芸能を沼田川した行事に関する調査、研究
(6)地域伝統芸能及び地域伝統芸産を活用した行事に関するセミナー、シンポジウムの実施
(7)地域伝統芸能及び地域伝統芸能に関する広報誌の発行
(8)地域伝統芸能等通訳案内業者の認定
当センターでは、伝統芸能等を活用した地域の活性化を支援するため、賛助会員を募集しております。ご賛同いただける場合には、下記までご連絡いただければ幸いです。
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